真鍮は本当に錆びない?特徴・種類・選び方まで徹底解説【完全ガイド】

真鍮とは|基本知識と定義

真鍮(しんちゅう、英語:Brass)は、銅(Cu)と亜鉛(Zn)を主成分とする合金です。古くから建築部品、装飾品、楽器、機械部品など幅広く利用されてきました。その理由は、耐食性・加工性・美観に優れているためです。

 

真鍮は「錆びない金属」として紹介されることが多いですが、厳密には「鉄のように赤茶色のサビ(酸化鉄の錆び)」を発生させないという意味です。実際には以下のような変化が起こります。

 

  • 鉄のような赤錆(Fe2O3)は発生しない
  • 表面は酸化皮膜(酸化銅や酸化亜鉛)により保護される
  • 時間が経つと「くすみ」や「緑青(ろくしょう、銅の酸化物)」が発生することがある

 

つまり「真鍮=錆びない金属」というよりも、真鍮=鉄錆が出にくく、美観が長持ちしやすい金属と理解するのが正しいです。

 

真鍮の数値・規格・性能

日本産業規格(JIS)では真鍮は以下のように分類されています。

 

  • JIS H 3250:黄銅棒
  • JIS H 3300:黄銅板・黄銅帯
  • JIS H 3260:黄銅管
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    主な性能は次の通りです。

     

  • 比重:8.4〜8.7(鉄=7.9より重い)
  • 引張強さ:300〜600 N/mm²(加工度によって変化)
  • 硬度:ビッカース硬さ 80〜150程度
  • 導電率:銅より低いが、鉄より高い
  •  

    これらの特性により、真鍮は装飾性と実用性を両立した金属として幅広い業界で活用されています。

     


     

    真鍮の特徴|メリットとデメリット

    真鍮は「錆びにくい金属」として人気ですが、その特徴にはメリットとデメリットがあります。

     

    真鍮のメリット

  • 錆びにくい:鉄のような赤錆を出さず、美観が長持ち
  • 加工性が良い:切削、プレス、鍛造、鋳造に対応しやすい
  • 耐摩耗性:機械部品(歯車や軸受け)に使われるほどの強度
  • 抗菌性:銅を含むため、ドアノブや水回り製品に衛生的
  • 美しい色合い:金色に近い光沢があり、建築やアクセサリーに利用
  •  

    真鍮のデメリット

  • 変色する:長期間で酸化皮膜や緑青が発生する
  • 価格が高い:銅ベースのため、鉄やアルミより高価
  • 強度は中程度:ステンレス鋼よりは劣る
  • 脱亜鉛腐食:湿気や酸性環境で亜鉛が溶け出す現象がある
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    真鍮の種類と分類

    真鍮は用途に合わせて成分比率や加工方法が異なり、いくつかの種類に分けられます。

     

    一般的な分類

    1. 単純真鍮(α黄銅)
    2. Cu 65〜70%、Zn 30〜35%
    3. 加工性が良く、板材・棒材に利用される
    4. 建築装飾や板バネなど

     

  • 二相真鍮(α+β黄銅)
  • Cu 55〜65%、Zn 35〜45%
  • 強度が高く、鋳造や鍛造に適している
  • 歯車、バルブ、船舶部品など
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  • 特殊真鍮
  • 鉛入り(快削性向上)
  • アルミニウム入り(耐食性向上)
  • 錫入り(耐海水性向上)
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    用途別の代表例

  • 装飾用真鍮:アクセサリー、仏具、建築金物
  • 機械用真鍮:歯車、ナット、ボルト
  • 楽器用真鍮:トランペット、トロンボーンなどの管楽器
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    真鍮の選び方と使用上の注意点

    真鍮を選ぶ際には、用途・環境・コストを考慮する必要があります。

     

    選び方のポイント

  • 装飾用ならα黄銅:加工しやすく、美観を維持しやすい
  • 機械部品なら二相真鍮:強度と耐摩耗性が必要
  • 水回りなら特殊真鍮:脱亜鉛腐食に強い材質を選ぶ
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    使用上の注意点

  • 水分・酸性環境での長期使用は緑青が発生する
  • 研磨・コーティングで美観を維持可能
  • 食品接触部分には使用を避ける場合がある(緑青成分が溶出する恐れ)
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    真鍮の導入事例・具体例

    真鍮は私たちの生活の身近なところで使われています。

     

    建築・インテリア

  • ドアノブ、照明器具、家具の取っ手
  • 高級ホテルの装飾金具
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    工業製品

  • 歯車や軸受け(摩耗に強い)
  • バルブや配管継手(水回り用途)
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    楽器

  • トランペット、サックス、トロンボーンなど管楽器
  • 音響特性に優れ、華やかな音色を出す
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    真鍮に関するよくある質問(FAQ)

     

    Q1: 真鍮は本当に錆びないのですか?

    A: 鉄のような赤錆は出ませんが、酸化による変色や緑青は発生します。定期的な磨きやコーティングで防げます。

     

    Q2: 真鍮とステンレスの違いは?

    A: 真鍮は加工性と美観に優れ、ステンレスは強度と耐食性に優れます。用途に応じて選択が必要です。

     

    Q3: 緑青は人体に害がありますか?

    A: 昔は有害とされましたが、現在の研究では少量での影響は少ないとされています。ただし食品接触部分では避けるのが一般的です。

     

     

    まとめと次のステップ

    真鍮は「錆びない金属」と呼ばれますが、正確には鉄のような赤錆が出ないだけであり、酸化や変色は避けられません。それでも加工性、美観、耐食性に優れ、幅広い分野で活用されています。用途に合わせた種類選びと適切なメンテナンスが重要です。

     

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