同軸度とは?意味・測定方法・許容値まで完全ガイド|図面理解と加工精度を高めるポイント

同軸度とは?意味・測定方法・許容値まで完全ガイド|図面理解と加工精度を高めるポイント

 

同軸度とは、基準となる軸と対象となる軸がどれだけ一致しているかを示す幾何公差の一つです。丸物部品や穴加工では欠かせない概念で、加工品質・組付け精度・回転性能などに深く関わります。本記事では、同軸度の意味から測定方法、公差の読み方、加工現場での注意点まで徹底解説します。

 

同軸度とは何か|軸同士の中心一致度を示す幾何公差

同軸度(Coaxiality)とは、基準軸と対象軸の中心がどれだけ一致しているかを評価する幾何公差です。軸心のズレが許容値内であれば「同軸である」と判断されます。同軸度が求められるのは、シャフト・穴・ボス・ブッシュなど円筒形状が関わるあらゆる部品です。

 

同軸度は 形体の偏心を抑えるための公差であり、回転機構や摺動部では欠かせない要素です。基礎知識については「幾何公差の種類に関して解説」で詳しく説明していますのであわせて参考にしてください。

 

同軸度が重要となる代表的な部品

  • モーターシャフトとハウジング
  • ギアと軸受部
  • 油圧・空圧シリンダー
  • 自動車部品(ドライブシャフト等)
  • 精密機器の回転体

 

同軸度の図面表記|どこを見るべきか

図面では、同軸度は几何公差フレームで以下のように表記されます。

 

記号 ⌀ 内に数値が入る(例:⌀0.02)
基準 A、B などの基準軸
意味 対象軸が基準軸の中心からどれだけズレてよいか

 

例えば「⌀0.02 | A」と記載されている場合、対象軸は基準軸Aの中心から半径0.01、直径0.02以内の円筒空間に収まっていなければなりません。

 

基本的な図面の読み方については「図面公差の基礎に関して解説」で詳しく触れています。

 

同軸度の測定方法|主に3つのアプローチ

同軸度の測定には以下の3つの方法がよく用いられます。

 

① ダイヤルゲージを用いた回転測定

ジグに固定した部品を回転させ、ダイヤルゲージの振れ幅で偏心量を測ります。最も一般的な方法で、量産部品や現場測定に適しています。

 

② 三次元測定機(CMM)による測定

CMMを用いることで軸心の理論値と実測値を高精度に比較できます。精密部品や高度な幾何公差が求められる製品で利用されます。

 

③ 画像測定機・光学測定

非接触で測定でき、薄肉パイプや微小部品に有効です。

 

測定方法特徴適用部品 ダイヤルゲージ簡易・高速・低コスト一般加工品・軸物 CMM高精度・データ化精密部品・幾何公差 画像測定非接触・細い部品向け小径パイプ・電子部品

 

同軸度と関連する幾何公差の違い

同軸度はしばしば以下の幾何公差と混同されます。

 

位置度:軸や穴位置のズレ円筒度:形状そのものの真円・円筒度真円度:単一断面の丸さのみを評価

 

同軸度はあくまで「中心軸の一致度」を扱い、形そのものが歪んでいても軸が合っていればOKという特徴があります。

 

同軸度の許容値(公差)はどの程度か

一般的には以下のような傾向があります。

 

一般機械部品:0.02〜0.05mm精密回転体:0.005〜0.02mm超精密部品:0.002mm以下

 

ただし、設計要求・組付け精度・回転速度などにより大きく異なります。 公的基準としては、JIS(日本産業規格)で幾何公差に関する定義が整理されています。

 

同軸度を高める加工方法|実務でよく使われる手法

同軸度を確保するには、加工工程の組み方が重要です。以下は有効な手法です。

 

① ワンチャック加工

旋盤・マシニングにおいて一度のクランプで複数工程を行うことで、芯ズレを最小化できます。

 

② センタードリル → 旋削 の基準取り

最初にセンターを正確に打つことで、軸心の基準を一貫させることができます。

 

③ 内外径同時加工(複合加工機)

複合旋盤ならシャフト外径と内径を同一基準で加工でき、同軸度が出しやすくなります。

 

複合加工や旋盤加工については「旋削加工の基礎に関して解説」で詳しく紹介しています。

 

同軸度が悪いとどうなる?実務トラブル例

ベアリングが偏摩耗するギアが異音・振動を発生する高回転時にブレが増えるシール部から油漏れが起こる組付け時に穴位置が合わない

 

特に自動車や産業機械では、安全・寿命・性能に直結するため同軸度は非常に重要な管理項目です。

 

よくある質問

Q. 同軸度と円筒度の違いは何ですか?
同軸度は「軸の中心が一致しているか」を評価するのに対し、円筒度は「円筒形状そのものの丸さ」を評価する点が異なります。図面理解を深めるには両者の使い分けが重要です。関連する幾何公差の基礎については、「幾何公差の種類に関して解説」で詳しく説明しています。また、JISの幾何公差規格でも両者は区別して掲載されています(参考: JIS)。
Q. 同軸度はどの測定方法を選べばよいですか?
一般加工品ならダイヤルゲージ、高精度が求められる場合は三次元測定機(CMM)、細径パイプなどは非接触式測定が適しています。
Q. 同軸度の一般的な許容値はどの程度ですか?
一般機械部品では約0.02〜0.05mm、精密回転体では0.005〜0.02mmがよく使われます。

まとめ|同軸度は精度管理の中心となる重要公差

同軸度は回転性能や寿命に直結する重要な幾何公差です。基準設定 → 測定方法 → 加工工程の組み方の順で理解すると、図面解釈も加工精度も大幅に向上します。フィリール株式会社では、多品種小ロットから量産まで同軸度管理を伴う精密加工に対応しています。お困りの際はお気軽にご相談ください。

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