NCコード一覧と基礎知識|エンジニアが押さえるべきプログラム構造と実践活用ガイド

Gコード・Mコード完全ガイド|NCプログラム構造と実践活用を徹底解説

NC加工を理解する上で欠かせないのがGコードMコードです。一般的に「NCコード」と呼ばれることがありますが、厳密には「NCコード」という命令は存在せず、NCプログラムはGコードとMコードの組み合わせで構成されています。本記事では、エンジニアや実務者が現場で役立てられるよう、両者の違い、一覧、応用例を体系的に解説します。

NCプログラムの基本構造|コード体系を理解する

NCプログラムは、1行ごとの命令文(ブロック)で構成され、主に以下の2つのコードで機械を制御します。

コード種別 役割 代表例
Gコード 工作機械の動作内容(位置・補間・座標系)を制御 G00(早送り)、G01(直線補間)
Mコード 機械の補助動作(スピンドル、クーラントなど)を制御 M03(主軸正転)、M08(クーラントON)

 

つまり、Gコードは動きを定義し、Mコードは機械の状態を制御するものです。これらを正しく組み合わせてNCプログラムを作成することで、正確な加工動作が実現します。

Gコード一覧と実務での活用例

Gコードは、工作機械の動作指令を与えるための命令です。JIS B 6312などの標準に基づき、以下のような命令が定義されています。

Gコード機能用途・補足 G00早送り位置決め工具を非切削で移動。安全退避時などに使用。 G01直線補間送り速度Fでの切削動作。 G02/G03円弧補間(CW/CCW)I, J, KまたはR指定で円弧加工。 G17/G18/G19加工平面指定XY平面(G17)、ZX平面(G18)など。 G40〜G49補正関連工具径・工具長補正を定義。 G54〜G59原点設定ワーク座標系を指定。 G90/G91絶対/相対指令位置指定方法の設定。

例えば、穴あけ加工を行うプログラムは次のように記述します。

O1001;
G90 G54 G00 X0 Y0 Z100;
G43 H01 Z50;
G81 R5 Z-20 F200;
G80;
M05 M09;
M30;

ここでは、G81で穴あけサイクルを指定し、G43で工具長補正を呼び出しています。

Mコード一覧と補助制御機能

Mコードは、主軸やクーラントなどの補助的な動作を制御します。以下のような命令がよく使用されます。

Mコード機能備考 M00プログラム一時停止作業者による確認などに使用。 M03主軸正転ONS値で回転数を設定。 M04主軸逆転ON左回転方向に使用。 M05主軸停止切削完了後に使用。 M08/M09クーラントON/OFF切削液の制御。 M30プログラム終了・リセット一連の加工完了時に使用。

Mコードは、制御装置やメーカーによって細部の仕様が異なるため、現場で使用する機械のマニュアルを必ず確認することが重要です。

NCプログラムの構造と座標設定

NCプログラムは複数のブロックで構成され、各ブロックに1つ以上のGコード・Mコードが含まれます。基本構造は以下のようになります。

N10 G90 G54 G00 X0 Y0 Z100; N20 G43 H01 Z50; N30 G01 Z-10 F150; N40 M05 M09; N50 M30;

ここで、座標系(G54〜G59)補正(G43)を適切に設定することが、加工精度を左右します。

よくあるエラーと対処法

  • Gコード未指定エラー: モード指定(G90、G54)が抜けていないか確認。
  • 工具補正ミス: H番号と工具番号が一致しているかを確認。
  • クーラント動作不良: M08/M09信号、配線リレーを点検。
  • 主軸逆転誤使用: M03/M04の指定方向を再確認。

GコードとMコードの違いを理解する重要性

現場でのトラブルの多くは、GコードとMコードの誤用によるものです。Gコードは動作、Mコードは動作環境を制御するという本質的な違いを理解することで、エラーの発生を大幅に減らすことができます。

よくある質問(FAQ)

Q1. GコードとMコードの違いは何ですか?

Gコードは工作機械の「動作(位置や補間)」を制御し、Mコードは「補助動作(主軸やクーラントなど)」を制御する命令です。つまり、Gコードが動きを、Mコードが環境を決める役割を担います。

Q2. Gコードの設定を間違えるとどのようなトラブルが起こりますか?

Gコードの誤指定は、工具の位置ズレやワーク破損など重大な加工不良につながります。特にG90(絶対指令)とG91(相対指令)の混同は典型的なミスです。

Q3. Mコードはメーカーによって異なりますか?

はい。Mコードは制御装置メーカー(FANUC、OKUMA、Mitsubishiなど)によって仕様が異なります。基本命令(M03・M05・M30)は共通ですが、補助機能コードは独自定義の場合があります。

Q4. NCプログラムを作成する際に守るべき基本ルールはありますか?

NCプログラム作成時は、必ず「座標系」「補正」「安全位置」の3要素を明示することが重要です。これにより、工具干渉や加工ミスを防げます。

まとめ|正しい理解が加工品質を変える

「NCコード」という命令は存在しません。実際に機械を動かしているのは、GコードとMコードの2種類です。両者の役割と組み合わせを理解することで、効率的かつ高精度な加工が可能になります。

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