C2680の比重・強度を徹底解説|黄銅材の特性と用途を深掘り
C2680は「黄銅(Brass)」の一種で、主成分は銅(Cu)と亜鉛(Zn)です。一般に「黄銅板」や「真鍮板」として流通しており、優れた加工性と適度な強度を兼ね備えています。この記事では、C2680の比重や引張強さ、他材との比較、さらには用途・特徴を詳しく解説します。
C2680とは?基本的な組成と特徴
C2680は「黄銅」の中でも亜鉛含有量が約33%の「低亜鉛黄銅」に分類されます。C2600(70/30黄銅)に比べてやや柔らかく、加工性に優れます。| 項目 | C2680 | C2600 | C2801 |
|---|---|---|---|
| 主成分 | Cu 約67%、Zn 約33% | Cu 約70%、Zn 約30% | Cu 約60%、Zn 約40% |
| 比重 | 8.47 | 8.52 | 8.39 |
| 引張強さ(MPa) | 340〜490 | 350〜500 | 400〜550 |
| 伸び(%) | 40〜50 | 35〜45 | 30〜40 |
C2680の比重とその意味
C2680の比重は約8.47です。これは鉄(7.87)よりも重く、銅(8.96)よりやや軽い値です。 比重が大きいほど密度が高く、振動吸収性や遮音性が良くなる傾向があります。- 加工時に発生する切削振動を抑制できる
- 音響機器や楽器部品に利用される
- 寸法精度が安定しやすい
C2680の強度特性
C2680の引張強さは約340〜490MPa。焼鈍(O材)では柔らかく、冷間圧延(1/2H〜H)では大幅に強度が上がります。処理状態引張強さ(MPa)硬さ(HV) O(焼鈍)34080〜90 1/2H440110〜130 H(硬質)490130〜150表2:C2680の処理状態別の機械的特性この強度と延性のバランスの良さが、コネクタ端子やバネ性部品などに適している理由です。バネ性を持つ銅合金については、「リン青銅の特性と用途に関して解説」で詳しく紹介しています。用途と加工性の特徴
C2680は板材、棒材、管材などとして流通しており、以下のような分野で使用されています。装飾品(照明、ハンドル、家具金具など)電気・電子部品(端子、コネクタ、ケース)建築装飾材(パネル、モールディング)精密機械部品(ギア、ベアリングスリーブ)加工性は非常に高く、冷間圧延・曲げ・絞り加工などが容易に行えます。また、ろう付け性や切削性にも優れており、機械加工にも適しています。他の銅合金との比較
設計者が材質を選定する際に迷いやすいのが、「C2600・C2680・C2801」のどれを選ぶかという点です。C2600:強度・耐食性のバランス型。装飾・産業用途に幅広く使用。C2680:加工性に優れ、コストパフォーマンスが高い。C2801:より高強度だが、加工性はやや劣る。黄銅材の選定ポイントについては、「黄銅の用途別選び方に関して解説」で詳しく紹介しています。よくある質問
C2680の比重は他の黄銅材と比べてどのような特徴がありますか?
C2680の比重は約8.47で、C2600(8.52)やC2801(8.39)と比較して中間的な数値です。このため、加工性と剛性のバランスに優れています。特に、精密機器や装飾部品ではこの適度な密度が評価されています。黄銅の種類ごとの比重や特徴については、黄銅の種類と機械的特性に関して解説で詳しく紹介しています。より詳細な規格値はJIS規格を参照してください。
C2680の強度はどのような条件で変化しますか?
C2680の引張強さは焼鈍状態で約340MPa、硬質材では最大490MPaに達します。冷間加工や圧延によって強度を高めることができるため、ばね性や耐摩耗性が求められる部品に使用されます。加工状態による強度の違いは、黄銅材の強度比較で詳しく解説しています。
C2680の主な用途と選定時のポイントは何ですか?
C2680は装飾品、コネクタ、建築装飾材などに使われ、加工性の高さとコストバランスが特徴です。特に量産部品に適しており、製品設計で重要な「形状再現性」が高い点が評価されています。用途別の選び方は、黄銅の用途別選び方に関して解説で詳しく説明しています。
まとめ|C2680は加工性と強度のバランスに優れた万能材
C2680は、比重8.47、引張強さ340〜490MPaと、黄銅材の中でも扱いやすい材料です。強度と延性、耐食性、加工性のバランスに優れ、装飾用途から電気部品まで多岐にわたって利用されています。 特に、コストを抑えつつも品質を重視する設計・製造現場において、C2680は理想的な素材の一つです。