RoHS指令とは?規制対象と適合のポイントをわかりやすく解説

RoHS指令とは?規制対象と適合のポイントをわかりやすく解説

製造業や金属加工、電子部品を扱う業界において避けて通れない規制のひとつがRoHS指令です。 「RoHS指令とは?規制対象は何か?自社はどう対応すればよいのか?」と疑問を抱く方も多いでしょう。 本記事では、RoHS指令の概要、規制対象物質、業界への影響、そして適合のための具体的なステップについて、わかりやすく解説します。

RoHS指令とは

RoHS指令(Restriction of Hazardous Substances Directive)は、EU(欧州連合)が制定した環境規制で、 電気・電子機器に含まれる有害物質の使用を制限するものです。 初版は2003年に制定され、その後「RoHS2指令」「RoHS3指令」と改正が進み、対象物質や製品範囲が拡大されています。 目的は、製品廃棄時に発生する環境負荷の低減と、人体への有害影響を最小化することです。 日本国内の製造業においても、EU市場に輸出する場合はRoHS対応が必須となり、 電子部品メーカーや金属加工業、樹脂成形業など広範な産業に影響を与えています。 公式文書はJIS規格(日本産業規格)などの研究機関情報で確認可能です。

RoHSの規制対象物質

RoHS指令では、特定の有害物質の使用が制限されています。 主な規制対象は以下の10種類で、すべての電気電子機器に適用されます。
物質名 用途例 最大許容濃度
鉛 (Pb) はんだ、塗料 0.1wt% 水銀 (Hg) スイッチ、蛍光灯 カドミウム (Cd) 顔料、電池 0.01wt% 六価クロム (Cr6+) 防錆処理、めっき ポリ臭化ビフェニル (PBB) 難燃剤 ポリ臭化ジフェニルエーテル (PBDE) フタル酸ジイソブチル (DIBP) 可塑剤 フタル酸ジエチルヘキシル (DEHP) フタル酸ブチルベンジル (BBP) フタル酸ジブチル (DBP)
これらの物質は微量であっても人体や環境に悪影響を及ぼすため、 代替材料や代替プロセスへの移行が進められています。 

 

製造業への影響

電子部品メーカー

電子部品メーカーはRoHS規制によって、はんだ材や絶縁材の変更を余儀なくされています。 特に鉛フリーはんだの普及は業界全体に大きな技術的転換をもたらしました。

金属加工業

表面処理に使用される六価クロムは厳格に制限されており、 三価クロム処理や無電解ニッケルめっきなどの代替技術が導入されています。 クロムめっきの比較解説はこちらで紹介しています。

樹脂・化学材料メーカー

フタル酸エステル類の規制は、樹脂添加剤の配合に直結します。 可塑剤を使用するPVC製品はRoHS対応のために代替剤の研究開発が進められています。

 

RoHS対応のステップ

  1. 規制物質の含有状況を調査
  2. 材料メーカーや仕入先からのRoHS適合証明書を確認
  3. 代替材料・プロセスの採用
  4. 最終製品での検査と検証
  5. 社内文書化と顧客への適合証明発行
特に仕入先との情報共有が重要で、サプライチェーン全体でのRoHS対応が求められます。 

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